介護制度の不備

在宅介護の家庭を直接訪問していて、介護保険制度の問題点に気づきました。
介護保険の一番の問題点は、やることが限られてしまうことなんです。
本人、家族がどんなに要望しても保険内でやらないといけません。

例えば、食事は保険対象者の分しか作ってはいけないので、家族一緒の食事は作ってはならないという決まりがあります。
洗濯、掃除も対象者以外は適用されません。
同じ屋根の下に住んでいて、炊事、洗濯、掃除という基本の家事が対象者だけ切り離されるというのは、現実的にはないと思いますが、制度の硬直性ゆえなのか、融通が利かないのが現状です。
そこで、そうした要望に応えるために「介護保険外」のサービスを始めることにしました。

介護保険だと1割の負担で済みますが、保険外だと全額負担というジレンマを抱える家族に寄り添うために始めたのが、友の会です。

天使の鈴友の会でできること

天使の鈴友の会は入会費、会費は無料。
サービスメニューは、生活支援サービス、老人ホーム入居先の紹介、不動産の紹介など。
生活支援サービスでは介護保険外の家事を代行します。

炊事、洗濯、掃除をはじめ、庭の草むしりまで要望があれば何でもやります。
介護疲れで限界になった家族に対しては、相談料無料で老人ホーム入居先を紹介します。
これは独居老人の遺産問題をスムーズに解決するためで、成年後見人も紹介しています。
ただ、財産を横領される事例もありますので、信託にして金銭の流れを透明化します。

会の利用者から費用を受け取らない新しいビジネスモデル

この会は利用者からは費用を受け取りません。
利用サービスを実施した業者から紹介料を受け取る事で事業を成り立たせるというビジネスモデルですが、すでに、葬儀社など様々な業種の会員がすでに50社近く集まっています。
元々経営している「天使の鈴」では介護保険適用の訪問介護にパートを雇用して取り組んでいます。
法律上同一事業所で適用と適用外の介護サービスはできないからです。

介護保険でカバーできないニーズがたくさんあります。介護保険の財源が先細りする中で今は国も保険外のサービス利用を勧めています。

つまり、経済的に余力のある家庭は保険をなるべく使わずに、本当に必要で介護保険しか利用できない家庭が使える財源を確保したいという意図だと思います。

これから厳しくなる見通しの介護保険

確かに介護保険の見通しは厳しそうです。
少子高齢化が進み、生産者年齢人口は減れば、介護保険制度の財源確保は厳しくなります。
その一方で被保険者は増え続け、2025年には全人口の30%、2035年には38%になる予測で、財源不足を補うために負担割合や保険料引き上げも行われましたが、これには限界があります。

今後は介護保険料支払い開始年齢を40歳以下に引き下げて、若年世代に拡大することも予想されます。また、財源不足を解消するために、介護報酬の見直した要介護認定の厳格化、軽度認定者のサービスの切り捨ても予想されます。そういう中で介護保険を使わない層にスポットをあてた、私どもが取り組むサービスは介護保険制度を維持するために必要なものだと言えます。

介護保険に関する相談は地域包括センターなどでできますが、実際は事が起きた時でないとなかなか行けません。

そこで、私どもは4年前から介護に関する相談会を介護カフェや企業に出向いて頻繁に開いています。
変わった所ではフィットネスクラブでも開いています。やはり、身近に認知症かなと思う人がいれば、相談してみようと席に着く人もいます。
これからは公民館で定期的に開く予定です。

申請の仕方も無料で教えています。

申請の仕方も無料で教えています。
もちろん、家庭を訪問してどれだけの介護が必要か確認もします。
役所はそこまではしませんから、書類の不備で何度も行かなくてはいけません。
また、申請して認可されるまで1カ月かかりますから、大変なんです。

これまで100以上の相談をこなしてきました。その中で顧客になるのは半分程度だから、一種のボランティア活動のようなものです。
最近増えている老人をターゲットにした詐欺犯罪。
スマホやパソコンなどIT技術の発展スピードに追い付かない老人が犠牲になるケースは後を絶ちません。
そこで携帯会社と提携して予防のための教室を開こうと検討しています。

このように困ったことやニーズを掘り起こせば、あらゆる支援策のアイデアが生まれてきます。

かゆいところに手が届く窓口が必要です。

認知症患者を抱えた家族の本当の悩みとニーズを吸い上げるには電話ではなく対面でしかできません。
これは行政では無理です。
やはり、かゆい所に手が届く窓口が必要です。その一部を担うために天使の鈴友の会を始めました。

介護疲れで起る殺人事件や老人の詐欺被害など未然に防ぐためにも始めるこのサービスは、社会的ニーズがあります。
また、こうしたサービスが一般化すれば、シルバー人材の雇用の場にもなります。
私一人では限界がありますが、このモデルを成功させて後に続く人が出てくれればと思っています。